なにかを抽象的に分析するとその構造があらわれる。だいたいヒット作というもののパターンがあったりする。
ところが、よくできたものというのは、いかに構造が素晴らしかってもディテールとそのバランスが大事だったりする。このバランスやディテールはやろうと思って作れるわけでもないところが重要だ。
たとえば、ある映画を撮ろうとして、素晴らしい話があって、それが本になっていて、コンテが上がっていても、役者がよくなくて、カメラマンがだめで、照明がだめで、音楽もだめなら話にならんと思う。
この場合、監督、演出がすばらしければいいという話ではある。しかし、一般的に演技をつけるのが演出だと思われているがそうでもない。人によっては役者にすべてを任す人もいるし、事細かく指示をする人もいる。
結果的に自分が求めるディテールをどうやって出すかがポイントになり、そのバランスをとるのが一番難しいのだと思うが、これについては経験論や偶然がものをいうだけだ。
料理を作ろうとして、残り物で料理を作るか、素材を吟味して料理を作るか、いずれにしてもセンスがいるわけだ。このセンスがなにか、どうやってまとめるかっていうのは意外に方法論は確率していないし、無数に方法があるということである。
ディテールが大事ではあるが、構造も大事だ。両方大事だ。しかし、構造なんてすでにある良作の構造をパクるだけで、個性はディテールにあるのだから、構造分析は初心者レベルは必要だが、それ以降はいらないと私は思う。
ただ、教科書とか論文というのは構造で語らないと語れないところがあって、構造が表にでてしまうのだろう。