アナログシンセの意味はない


今でもそうかもしれんがアナログが温かみがあって、音がいいと思っている方々がたくさんいるかもしれない。

しかし、ことシンセに関してはおそらくどうでもいい。むしろデジタルの方が利点が多いという気がする。

要するに、アナログシンセが出す波形を再現できればいいのだ。私はそう思っている。音が太いとかいうのもアナログかどうかは関係ない。低音から倍音が出て、しかも高域がカットされた方が太く聞こえる。

シンセは特にそうだが、アナログ機材もデジタル機材も数学を形にしているにすぎない。高精細なデジタルであれば十分アナログのかわりになる。44.1KHzもあれば十分だし、今どきのソフトシンセはfloat以上の精度で計算しているので何の問題もない。

昔のデジタルシンセは浮動小数点では計算していなかった。フェアライトの最初のサンプラーも8bitだったかで、8bitでは計算すればするほど誤差が出てきて、むちゃくちゃになってしまう。だから、初期のデジタルシンセはオシレータだけはデジタルで以降はアナログというものが多い。

普通にPCMシンセ全盛のころはそんなことはないと思うけれど、処理スピードの問題もあったかもしれない。

prophet-600などは確かエンベロープはデジタルだったかな、処理スピードが遅いのでエンベロープが遅いと聞く。

とにもかくにも現代ではそういう問題は皆無だ。

逆にいうと、アナログな機材は音が悪いというか、再現性が正確ではない。そういうところがアナログシンセには出ている。ピッチは温度によって不安定だったりといった類だ。何個もモジュールを介しているからノイズも多い。そのノイジーさとランダムさが音に影響をおよぼしている可能性はある。

なにしろ、日常で聞く音というのは空気振動というカオスである。遠方で巨大な音をならしても遠くでは空気にフィルターを通ってしかも、その振動もカオスになっているはずで、だからぼわんぼわんとする音がする。

オーディオでやっていることといえばこれの真逆である。いかに再現性を高めてノイズを減らすことなのだ。そういう意味では音の機材は全てデジタルの方が有効といえる。

人間は日常の音の方をよく聞いている。だからアナログの方が親しみやすい印象をもっている。しかし、オーディオや楽器がやっていることは基本再現性なのだ。ちゃんとした再現ができるものが素晴らしい。単純にアナログ感がほしければ、デジタルシンセをアンプでならしてスピーカーが揺らした音を遠方でマイクで録音すればいい。しかし、それと実際のアナログシンセとは違う。

逆にいうとアナログシンセというのはいい加減なモジュールをいろいろ組み合わせて偶然出来上がったセットなのだ。しかし、この偶然さというのも捨てがたい。個体はいつも個別的に固有である。しかし、本来の再現性では実は劣っている。

個人的に言えば、使って楽しいのはアナログシンセだが、音楽を作るのはデジタルの方がいいといった感じか?書いててデジタルを擁護していないような気になってきた。w