音楽を聞いて面白いと思う。映画を見て面白いと思う。時間がかかわっているものはどうして面白くなっているのかを考えたことはあるだろうか。
お笑いで人は笑う。あれはなぜだろう?
お笑いの場合、桂枝雀は緊張と緩和だと言った。
実はあらゆる芸術で同じようなことが起こっている。とくに時間芸術はそうだ。要するに、エネルギーを下げてから上げたり、上げてから落としたりというようなことをやっているのだ。
音楽の場合はABC構造といった構造もそうだし、和音のトニック、ドミナントもそうだ。リズムのブレイク、フィルインもそうなのだ。
映画の場合は起承転結だったり、日常と非日常の変化だったりする。
絵画の場合は画面上の比率であったり、空間的な前景、中景、遠景であったり、色の対比などがこれにあたる。ボケているかボケていないかもそうだろう。
つまり、芸術作品というのは世界、いや、宇宙の箱庭なのだ。宇宙にはエネルギーの上下運動が絶え間なくあり、これを内包しているのが芸術作品ということになるのだ。
勢いのある作品を作りかったら、勢いのないシーンも作らないといけないということだ。